義務化の火災警報器、どうしたらいいの? 取り付けは正しい場所に(産経新聞)

 【社会部オンデマンド】

 「市の広報誌などで法律に基づく住宅用火災警報器の設置を訴えています。いつまでに設置しなければならないかや設置基準、費用など火災警報器の購入・活用方法を教えてください」=千葉県船橋市、匿名

●狙いは高齢者の被害減

 煙や熱を感知することで出火を早期に知らせ、火災の被害を最小限に食い止める火災警報器。平成16年の消防法改正で、戸建て住宅やマンションなど全住宅で設置が義務づけられた。

 「高齢化が進むとともに住宅火災の死者数が増加する可能性があります」と必要性を指摘するのは、総務省消防庁予防課の竹村好史国際規格対策官だ。

 同庁によると、全国の住宅火災の死者数は建物火災の死者の約9割を占め、うち約6割が65歳以上の高齢者。15年には住宅火災の死者が千人を突破し、その後も千人台で推移している。

 「死亡原因の6割以上は逃げ遅れ。住宅火災を減少させ、特に高齢者の被害に歯止めをかけるため、住宅にも警報器設置を義務づけたのです」(竹村対策官)

 消防法改正により、新築住宅については全国で18年6月1日以降、建築確認手続き時に警報器が設置されていないと建築確認が下りないことになった。

 一方、既存住宅については遅くても23年6月までの設置が義務づけられた。義務化の時期については、地域の実情などを考慮して市町村が条例で決定。すでに全国の世帯の約4割で義務化がスタートしている。

 では、どこに取り付ければいいのだろう。

 政令では、全国一律に寝室およびその避難経路となる階段に設置する−となっている。「ただ、大都市を中心に、条例で台所にも設置を義務づける地域があります」(竹村対策官)

 今年4月1日から義務化される東京都の場合、全居室への設置を義務づけている。4LDK2階建て住宅なら、4部屋▽階段▽リビング▽台所、と少なくとも7個の警報器が必要だ。

 煙は上に昇って天井に広がるが、壁際は空気がたまり煙が届かない。そのため、天井なら壁から60センチ以上離した場所、壁なら天井から15〜50センチの場所に設置しなければならない。

●設置は“助け合い”も

 とはいうものの、足腰の弱った高齢者にとって、天井などへの警報器の設置は厳しい作業となる。

 「そうしたケースも想定して、地域社会に密着した取り組みをさまざまな団体にお願いしています」と竹村対策官。例えば、20年6月に設置が義務づけられた茨城県大子(だいご)町では、消防団が中心となってパンフレットを配布したほか、警報器の価格交渉や注文の受け付け、集金まで実施した。取り付け作業も希望する家庭には消防団員が行ったという。

 自治体によっては、65歳以上の世帯に警報器を給付したり、購入補助をしたりしているところもある。竹村対策官は「困ったときは近くの消防署や地元消防団、各自治体に相談するのも1つの方法」と話す。

 気になる価格だが、煙を感知する簡単なものなら1個3千円前後、無線を使って他の部屋の火災を音声などで知らせるものでも1個8千円前後で購入できる。購入先はホームセンターが最もポピュラーだ。取り付け後の交換目安は10年で、消耗などを考えると10年に1回は交換したい。

 一方、増加傾向にある悪質な訪問販売には注意しなければならない。設置義務化の決定以降、家庭を訪問し、法外な金額で警報器を売りつける訪問販売が全国で続発し、高齢者を中心に被害が相次いでいる。

 竹村対策官は「消防署の依頼を装い、『消防署の方から来ました』などと言って火災警報器を高額で売りつける手口なども確認されています。訪問販売には価格や品質に細心の注意を払ってください」と呼びかけている。

 21年12月時点で、全国の世帯における警報器の設置率は52・0%。未設置に対する罰則はないが、命や財産を守ることを考えればいち早い設置が必要だ。

 日本火災報知機工業会でも月〜金曜の午前9時〜午後5時まで「住宅用火災警報器相談室」(フリーダイアル0120・565・911)を開き、質問を受け付けている。(豊吉広英)

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